一般的なマッチングアプリで、ぽっちゃり体型の女性がまず身につけるのは、自分を小さく見せる技術だ。写真は顔だけにするか、加工アプリで輪郭をそっと削る。全身が写った一枚は、決して選ばない。プロフィールに体型は書かず、メッセージのやり取りが進んで、いざ会う段になって相手ががっかりしないか、その日までずっと身構えている。出会いを探すはずの場所で、最初に覚えるのが、自分の体をどう隠すか、なのだ。
Pocha恋は、その前提を丸ごとひっくり返したアプリだ。ぽっちゃり系女子専用、と最初から掲げているから、体型は隠すべき弱点ではなく、来る人みんなが分かっている前提になる。ここに登録する男性は、ぽっちゃりした女性に会いに来ている。だとすれば、もう隠す理由などない。そして、実際に使った人たちの話を読んでいくと、この、隠さなくていい、というたった一つの変化が、思いがけず次々と連鎖していくのが分かる。写真の選び方から、自分の体の見え方、そして人と向き合う姿勢まで、ひとつずつ順番に変わっていく。値段やマッチの数といった指標では、その変化はうまく測れない。これは、出会いの効率の話であると同時に、自分の体とどう折り合うか、という、もっと根の深い話でもあった。専用のアプリが本当に変えていたのは、相手の数よりも、自分を見る目のほうだったのかもしれない。
加工をやめた写真から、すべてが始まる
最初に起きるのは、写真をめぐる小さな、けれど決定的な変化だ。隠さなくていいと分かると、人はようやく、ありのままの自分を載せられるようになる。そして、その一歩が、思った以上に多くのものを動かす。
ありのままを載せた瞬間に、何かがほどける
二十六歳のみおさんは、それまで一般のアプリで、体型を気にして写真を加工し続けていた。少しでも細く見えるように、角度を選び、線を整え、写りのいい一枚を探し回る。けれどPocha恋では、思いきって、ありのままの自分を載せてみた。すると、ぽっちゃりした女性を好む男性が多いぶん、マッチの数が、これまでとは比べものにならないほど増えたという。加工して、会ったときのギャップに怯えていた頃とは、心の軽さがまるで違う。最初から本当の自分で勝負できると、こんなにも楽なのかと驚いた、と振り返る。会う前から自分を偽っていると、その嘘を会ってからも抱え続けることになる。その重荷が、はじめからないのだ。
二十九歳のなおみさんも、登録してすぐ、マッチの数の多さに手応えを感じた。ただ、ここは正直に書いておくと、数が多いぶん、送られてくるメッセージの質にはばらつきもあった。専用アプリだからといって、誰もが誠実とはかぎらない。それでも、根気よく続けるうちに、ぽっちゃりした女性の魅力をちゃんと分かっている男性と出会えた。体型への理解が前提になっているぶん、いざ噛み合う相手とは、関係が深いところまで進みやすい、というのがなおみさんの実感だ。隠すための手間がいらなくなると、その分のエネルギーを、相手をちゃんと見ることのほうに回せる。自分を取り繕うのに使っていた神経を、まるごと、目の前の人へ向け直せるのだ。出会いの土台が、防御から、関心へと入れ替わる。その差は、活動の手応えに、はっきりと表れていた。
その体型がいい、と言われて世界の見え方が変わる
専用アプリのいちばん深い効き目は、マッチの数では測れないところにある。自分の体を、誰かに、はっきりと良いものとして受け取ってもらう。その経験が、長年こじらせてきた自己像を、静かに、けれど根本から書き換えていく。
肯定されると、自分でも肯定できるようになる
二十四歳のゆいさんは、マッチした男性との初デートで、ひどく緊張していた。けれど相手は、その体型が健康的で魅力的だ、とまっすぐに褒めてくれた。社交辞令ではなく、本心からそう言われていることが伝わってきて、胸が高鳴ったという。その日を境に、変わったのは恋愛のことだけではなかった。自分の体を、否定するのではなく、肯定的に見られるようになったのだ。これまで体型を理由に避けていた服にも袖を通せるようになり、おしゃれそのものが楽しくなった。ぽっちゃりでも、ちゃんと恋愛の対象になるのだと、頭の理屈ではなく、肌の実感として分かった、と話す。
二十八歳のあかりさんも、似た道をたどった。友達にすすめられて半信半疑で始めたが、デートで相手から、ぽっちゃりの魅力に気づかせてくれた、と言われ、自信がついた。体型を理由に、心のどこかで諦めていた出会いが、急にいくつも広がっていく。婚活そのものに前向きになれた、というのがあかりさんの言葉だ。誰かに肯定されることは、自分で自分を肯定するための、いちばんの近道になる。一度それを体で知ってしまえば、もう簡単には縮こまらない。鏡の前で自分を減点する癖が、少しずつ薄れていく。恋愛のために始めたはずの活動が、いつのまにか、自分自身との関係を結び直す時間になっていた。誰かに見つけてもらう前に、まず自分が自分を見放すのをやめる。その順番が、ここでは自然に起きていた。
好みを隠さなくていい、男性側の安心
変わるのは、女性の側だけではない。ぽっちゃりした女性が好きだという男性もまた、一般のアプリでは、その好みを口に出しにくい思いを、どこかで抱えてきた。Pocha恋は、その人たちのほうにも、本音のままでいられる場所を差し出している。
二十九歳のけんたさんは、もともとぽっちゃりした女性に惹かれていた。一般のアプリでは、体型のことで敬遠されるのではと身構える場面もあったが、Pocha恋では、最初から好みの体型を前提に活動できる。だから見当違いのマッチが少なく、はじめから理解のある相手とつながりやすい。三回目のデートで交際に発展し、今も幸せに過ごしているという。二十七歳のりょうたさんも、一般のアプリでは、好みの体型を伝えること自体に、いちいち気を遣っていた。けれどここでは、ぽっちゃりが好きだと公言したうえで活動できる。女性からの反応も好意的で、それがそのまま自信につながった。好みを隠さなくていいと、出会いは驚くほど早くなる、というのが実感だそうだ。
三十一歳のしょうたさんは、ぽっちゃりした女性の包容力や穏やかさに惹かれて登録したが、このアプリが体型だけでなく内面も大切にしている点を、何より評価していた。プロフィールの項目が充実していて、相手の性格や趣味がよく分かるので、マッチした後の会話が弾みやすい。好みを正直に出せる場所では、女性も男性も、最初から噛み合っている。互いに見栄を張る必要がないぶん、上辺だけでない、長く続く関係を築きやすいのだろう。隠しごとのない出会いは、出だしから余計な摩擦がない。好みを偽って近づき、あとで本心がばれる、という気まずさが、そもそも生まれようがない。最初から本音どうしで向き合えるぶん、話は早く、そして深くなる。専用であることは、女性にとってだけでなく、男性にとっても、肩の力を抜ける場所なのだった。
同じ悩みを通ってきた人が、すぐ隣にいる
専用アプリには、出会いの機能とは別の、もう一つの効用がある。同じ体型をめぐる悩みを抱えてきた人どうしが、自然と一つの場所に集まっていることだ。これは、思っているより心強い。
三十歳のさくらさんは、Pocha恋を使う中で、ぽっちゃりした女性どうしの、ちょっとした情報交換が生まれていることに気づいた。体型の悩みを分かち合いながら、デートでこんなことがあった、と体験を話すのが楽しい。一人で抱え込むとずっしり重くのしかかる悩みも、同じところを通ってきた相手となら、いつのまにか笑い話にできてしまう。自分自身は素敵な男性と交際中だが、まわりの友達にも、いくつか良い出会いがあったようだ。専用アプリならではのこの空気が、孤独を感じさせないのがいい、とさくらさんは言う。
一般のアプリで、自分だけが場違いなのではないかと縮こまっていた人にとって、ここでは自分のほうが当たり前の側にいる。その逆転した安心感が、活動を続けるための土台になる。体型の悩みは、放っておくと人をどんどん内向きにさせるが、同じ悩みを持つ仲間がそこにいると分かるだけで、不思議と外を向ける。出会いを探す場所が、いつのまにか、自分を肯定し直す場所にもなっている。同じ悩みを言葉にして、誰かと笑い合えるだけで、その悩みは少し軽くなる。恋人ができるかどうかとは別に、そういう横のつながりそのものが、専用アプリの隠れた値打ちだった。一人で背負っていたものを、分け合える相手がいる。それだけで、世界はずいぶん広く感じられる。
飾らずに始まった関係は、長く続きやすい
ここまでの話には、一つ通底するものがある。最初から自分を偽らずに始まった関係は、その後も無理がない、ということだ。取り繕って始めた関係は、取り繕い続けなければ保てない。けれど、ありのままで始まった関係には、そもそも維持すべき嘘がない。
取り繕わない分、続けるのに力がいらない
三十五歳のひろしさんは、一年近くPocha恋を続け、複数の女性とデートを重ねた末に、今の妻と出会った。ぽっちゃりした女性の温かさに癒されながら、メッセージのやり取りを通じて、価値観が深いところで合うことに気づいていったという。体型への理解が初めから共有されているぶん、よけいな気兼ねがなく、結婚生活も円満だと話す。三十三歳のまさきさんは、婚活そのものが初めてで、プレッシャーの少なさからPocha恋を選んだ。体型を気にせず始められるので、初めから構えずにすみ、相手の女性ともすぐに打ち解けて、今は真剣に将来を考えている。婚活の入り口として、こういう場所はちょうどいい、というのが実感だ。
夫婦そろってPocha恋で出会った人たちもいる。三十四歳のたろうさんは、ぽっちゃり好きとしてこのアプリを使い、妻のえみさんと出会った。結婚した今、このアプリのおかげで最高の相手に巡り会えた、と語っているという。えみさんのほうも、体型を肯定してくれる環境で、ようやく自信を持てたと振り返る。二人とも、相手の本当の姿を、最初から受け入れたうえで始まっている。だから、いつまでも取り繕う必要がない。飾らない関係は、続けるのに力がいらない。長続きする土台は、たいてい、出会った最初の一日に置かれている。どんな自分で出会ったかが、その後ずっと、関係の前提になり続けるからだ。背伸びして始めれば背伸びが続き、ありのままで始まれば、ありのままが許される。専用アプリで生まれた縁が円満なのは、奇跡でも相性の良さだけでもなく、出発点に嘘がなかったからなのだろう。
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