三十二歳の佐々木さんは、友人にすすめられて入会したとき、よくあるマッチングの仕組みを思い描いていたという。実際に始めてみると、相手を紹介される前に、まず自分自身と向き合わされた。ここは出会いを売る場所というより、婚活のやり方そのものを仕込まれる場所なのだと、途中で気づいたそうだ。口コミで評判のカウンセリングというのは、その人を変えるための時間だった。結婚相手は、変わった自分の先に、結果としてついてくる。考えてみれば、これまで何度婚活に挑んでもうまくいかなかった人にとって、変えるべきは相手のラインナップではなく、人との向き合い方そのものだったのかもしれない。出会いの場をいくら変えても、向き合う自分が同じなら、結果も同じになる。実際に活動した人たちの話を順に読むと、その順番がよく見えてくる。何人かは、結婚相手を見つける前に、まず自分のつまずきの正体を知ることになった。
ぼんやりした理想を、輪郭のある目標に変える
婚活がうまくいかない人の多くは、自分が何を望んでいるのか、実ははっきりわかっていない。優しい人、価値観の合う人、と口では言うけれど、その中身を突き詰めたことがない。カウンセリングは、まずそのぼんやりを言葉にする作業から始まる。何を求めているのかが自分でも曖昧なまま相手を探しても、ピントは合わない。譲れないものは何で、目をつぶれるものは何か。人に問われて初めて、頭の中が整理されていく。理想を絞ることは、選択肢を狭めるようでいて、出会いの精度をむしろ上げていく。
月ごとの目標を決めたら、止まっていた足が動いた
三十三歳の佐藤さんは、仕事に追われて婚活が完全に止まっていた。何となく登録して、何となく眺めて、何も起きないまま時間だけが過ぎていく。担当のカウンセラーとまずやったのは、ひと月のあいだに何をするかという、具体的な目標を決めることだった。今週は何人に申し込む、来週は一度会ってみる。漠然とした願望が、こなすべき行動に置き換わると、止まっていた足が動き出した。プロフィールも一緒に練り直し、自分の何を伝えるべきかが定まると、紹介される男性の顔ぶれが目に見えて変わったという。考え方の合う相手と出会い、半年で交際に進んだ。忙しさを言い訳に先延ばしにしてきた行動が、約束した目標になると、不思議と動けた。誰かに進み具合を見られているという、ほどよい緊張感も効いた。一人ではいつまでも始まらなかった婚活を、外から段取りしてもらえたことが大きかった、と話す。やる気がなかったのではなく、やり方と仕組みがなかっただけだった。今は結婚の準備を進めている。
自分では気づけない癖を、人の手で直す
やり取りが続かない、会っても次につながらない。その原因は、たいてい自分の死角にある。だから一人でいくら考えても、同じところでつまずき続ける。横から見ている人が、ここを直そう、と言ってくれて、ようやく流れが変わる。本人にとっては当たり前になっている振る舞いほど、自分では問題に見えない。指摘は時に耳が痛いが、痛いということは、図星を突かれているということでもある。
添削で、返事をしやすい文面に変わる
二十八歳の鈴木さんは、マッチはするのにメッセージが続かないことに悩んでいた。スタッフに自分の送った文面を見てもらうと、どれも当たり障りがなく、相手が返事をしにくいものばかりだと分かった。添削を受け、相手のプロフィールに沿った具体的な質問を入れるように変えると、返信率がはっきり上がった。何人かと会えるようになり、今は一人と真剣に付き合っている。自分では気の利いた文章のつもりでも、外から見ればまるで違って映る。たとえば、好きな食べ物は何ですかと聞くより、プロフィールにあった旅行の話を拾って、最近どこへ行ったのかと尋ねる。それだけで相手は答えやすくなり、会話が続いていく。小さな違いだが、積もれば結果が大きく変わる。その差を埋めてくれたのが、人の目だった。
払った費用が、最後まで続ける力になる
三十四歳の高橋さんは、初期費用を自分への投資と受け止めて活動した。定期的にカウンセリングを受け、つまずくたびに進め方を直してもらえたという。無料のアプリなら、気が向いたときだけ開いて、いつのまにか放っておいたかもしれない。それなりの費用を払ったことで、半端な向き合い方ができなくなった。料金に見合う結果が出たのは、その覚悟に背中を押されて、最後まで真剣に活動を続けられたからでもある。逆に言えば、費用を払っても自分が動かなければ、結果はついてこない。サポートはあくまで後押しであって、歩くのは自分だ。高橋さんはそれを承知のうえで、定期的な面談を区切りにして、活動の手を止めずにいられた。本気で婚活したい人に向いている、という評判は、そういう意味だった。
相手の粗より、良いところに目が向くようになる
ここが、ただのマッチングサービスと、いちばん違うところかもしれない。婚活を続けていると、人はいつのまにか、相手を採点する目つきになっていく。あの条件が足りない、ここが引っかかる。減点ばかりしていれば、当然、誰とも続かない。完璧な人を待っているうちに、目の前のいい縁を取りこぼしていく。婚活が長引く人ほど、この減点の癖が抜けないまま、相手のせいにしてしまいがちだ。問題は相手の質ではなく、こちらのまなざしのほうにあることが多い。
減点をやめると、同じ相手が違って見える
三十一歳の山田さんが活動を通じて身につけたのは、相手の良いところを先に探す、という姿勢だった。はじめは、紹介された相手の足りない部分にばかり目が行っていたという。けれどカウンセラーとのやり取りの中で、見方を少しずつ変えていった。この人のどこが魅力だろう、と先に考える癖をつけると、同じ相手が違って見えてくる。減点法で眺めていた頃には素通りしていた良さに、気づけるようになった。やがて理想に近いパートナーと巡り合えたのは、相手が変わったからではなく、自分の目線が変わったからだった。ただ相手を紹介されるだけでなく、自分自身が育てられる場所だった、と振り返る。面白いのは、良いところを探そうとすると、相手の前での自分の表情まで変わることだ。粗を探す目で見られている相手は身構えるし、良さを見ようとしてくれる相手には心を開く。見方が変われば、返ってくるものも変わる。婚活で問われていたのは、相手選びの腕よりも、人と向き合う姿勢のほうだったのだ。
不安を一人で抱えなくなると、足が前に出る
婚活には、人に言いにくい不安がついて回る。とくに一度結婚を経験した人にとって、もう一度踏み出すことの重さは、初婚の比ではない。その不安を誰かに預けられるかどうかで、動けるかどうかが変わってくる。胸にしまったままだと、不安はどんどん大きく育って、一歩を踏み出す前に足がすくむ。言葉にして外へ出すだけで、その重さは不思議と目減りする。
再婚の重さを、一人で背負わなくていい
三十八歳の中村さんは、再婚への不安をスタッフに打ち明けるところから始めた。過去をどう受け止めてもらえるか、また同じことをくり返さないか。胸の内にためていた心配を言葉にして、聞いてもらえただけで、心の重さがずいぶん軽くなったという。似た境遇を経てきた男性を紹介され、引け目を抱えずに進められた。今は穏やかな結婚生活を送っている。
四十一歳の田中さんも、離婚歴を抱えながら再婚を望んでいた。初回の面談で、共通の人生観を持つ女性と引き合わされ、肩の力を抜いて向き合えたという。一年後には式を挙げた。年齢を重ねても真剣な出会いがあったのは、手厚いサポートが、最初の一歩のためらいを取り除いてくれたからだ。
二人に共通するのは、過去を隠したり弁解したりする気疲れから、解放されていたことだ。同じ痛みを知る相手なら、一から事情を説明しなくても通じ合える。負い目が前提でなくなると、ようやく相手そのものを見られるようになる。不安は、抱え込むと足を止めるが、誰かと分け合うと、前へ進む燃料に変わる。
場所を選ばず、時間をかけて、変化を実らせる
人が変わるのには、どうしても時間がかかる。だから婚活も、すぐに結果が出るとは限らない。途中で投げ出さずに続けられるかどうかが、最後にものを言う。その続ける力を支えてくれるのが、隣で歩みを合わせてくれるカウンセラーの存在だ。一人だと、うまくいかない月が続いたとたん、活動そのものから足が遠のいてしまう。けれど定期的に振り返る相手がいれば、落ち込みを引きずらず、また次の一歩を出せる。
距離も期間も、続けられれば壁にならない
三十六歳の伊藤さんは地方に住んでいたが、オンラインの相談をうまく使って活動した。紹介された女性とはビデオ通話を重ねて信頼を築き、実際に会ってから交際に進み、結婚に至った。住んでいる場所に縛られず、距離があっても歩みを止めずにいられたのは、画面越しでも支えがあったからだ。
三十五歳の渡辺さんは、一年近くをかけてじっくり活動した。すぐにこれという相手に出会えたわけではなく、紹介を重ねるうちに、自分に合う人がだんだん見えてきた。焦って妥協しそうになったときも、もう少し続けてみましょう、と引き止めてもらえた。短い期間で結果を出そうとすると、人はつい目先の条件に飛びついてしまう。腰を据えて続けられたからこそ、本当に合う相手にたどり着けた。くじけそうな時期に、カウンセラーが一緒に状況を振り返り、次の一手を示してくれたことが、続ける支えになったという。
変わった自分を、実際の場で試す
二十九歳の木村さんは、婚活パーティーに足を運んだ。プロフィールや文章だけでは伝わってこない、その場のマナーや雰囲気を直に確かめられたという。好印象を持った男性と、そこから交際に発展した。文字のやり取りの中で整えてきた自分を、実際に人と向き合う場で出してみる。そこで初めて、机上の手応えが本物かどうかが分かる。変化は、頭の中で完結させず、現実の場で試して初めて、結果に変わっていく。
パートナーズで成果を出した人たちは、口をそろえて、相手が良かったというより、自分が変わったと言う。目標を立てる前は動けなかった人が動き出し、減点ばかりしていた人が良さを見つけられるようになり、不安で足がすくんでいた人が前へ出られるようになる。カウンセリングが売っているのは、出会いの数ではなく、人と向き合う自分のつくり直しだ。だから、ただ手早く相手を見つけたいだけの人には、回りくどく感じられるだろう。費用も期間も、それなりにかかる。けれど、これまで何をやってもうまくいかなかったのが、相手のせいではなく自分の向き合い方のせいだったとしたら、変えるべきは探し方ではなく、自分のほうだ。その作業に根気よく付き合ってくれる人がいるかどうかは、思っているより大きい。一人では、自分の欠点を直視するのも、見方を変えるのも、そう簡単には続かない。横で背中を支える存在があって、人はようやく変わりはじめる。婚活を終えてみると、得ていたのは結婚相手だけではなかった。人ときちんと向き合えるようになった自分自身が、そこにいた。
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